ボンベイに駐在していれば、あちこちで思いがけず、撮影中のスーパースターに遭遇したりする機会に恵まれる。

 5つ星ホテルのロビーや、大財閥の結婚式、パーティーなど、駐在員の特権的階級との付き合いで、思いがけずの同席なんていうこともしばしば。子供の学校のPTAでスターと同席なんていう機会にも恵まれる。

 しかし、大物スターとなると、やっぱり、会えるチャンスは限られる。私自身が、駐在2年、実際遭遇したスターは、フィルム・スタジオ見学で、ジャッキー・シェロフ、サルマン・カーン、幸運なシューティング遭遇で、ラニ・ムッケルジー、アブシーック・バチャン、アニル・カプールといったところだ。

 ボンベネーゼの中には、ホテルで、カリシュマ・カプール、サンジェ・ダット、シャールク・カーン、
シューティングでアイシュワリヤ・ライ、アミタブ・バチャン、
お買い物の途中で、ボビー・デオル、カリナ・カプール、アクシェイ・クマール、
PTAでは、スニル・セティーやジェッキー・シェロフ
飛行機内で、アジェイ・デーブガン、シャールク・カーンと偶然会えたと聞いている。
こうしてみると、やっぱりボンベイにいれば、いたるところで、フィルム・スターに遭遇する事ができるわけだが、お気に入りスターに個人的に会うためには、かなりの有力なコネが必要になる。

 ボンベネーゼたちが幸運にも、「シャールク・カーンにあったわよ」という話を聞くたびに、大好きなシャールクに会いたい、会いたい、会いたいという気持ちが高まっていた。サルマン・カーンに会った直後は、あまりの興奮から、4日も熱を出して、ナザール熱(人の羨むようなことをすると、恨みをかって熱を出す)が出て、大変だった。大好きなシャールクにあったら、きっと気がふれてしまうかもしれない。・・・・それも、いいかも。なんて、考えていた。

 ボンベネーゼのお気に入りの茶店 The Tea Center(チャーチゲート駅近く)の、オーナーは、シャールク・カーンのCMを手がける大物プロヂューサーのK氏。この店は、映画関係者の溜まり場でもある。ちょくちょく、ここでハイティーや、ティーテイスティングなどを楽しむうちに、K氏の依頼によって、ボンベネーゼたちは茶道をご披露することとなった。そんな縁で、かなうなら、是非シャールク・カーンと会わせてほしいという、私たちの願いを聞き入れてくださって、K氏のアレンジで2月19日(フィルムフェアー授賞式、Jeevan Jyotコンサートに続いて)ボンベイ・フィルムシティーで、シュティング中のシャールク・カーンを訪問する機会に恵まれる事となった。

 授賞式や、コンサートの事もあって、2度のキャンセルの後の招待であったため、「本当に会えるのか?」と、かなり消沈気味のボンベネーゼ5名であったが、チョコレートボックスや、日本の手土産、花束を抱えて、ボンベイ・フィルムシティを目指したのであった。同行してくれたのは、K氏のセクレタリーのA嬢。シャールクのCM撮りでは、既に彼と何度も面識があるそうだ。

 ボンベイのフィルムシティは、ボンベイ中心街から、北へ約10キロ、GoregaonにWest と Eastの2つの地区に分かれてある。ハリウッドの様に小高い丘の上全部がフィルムシティーとなっている。そのほかにも、フィルムスタジオと呼ばれる、スタジオがこの回りにたくさん点在している。フィルムシティーの中では、おもに屋外ロケを中心に撮影が行なわれている。現在Westにはカラン・ジョハ―ル監督の「カビ・クシ・カビ・ガム」の屋外ロケ用のセットが作られている。また、今回、訪ねたEastにはシルパ・シェティーとアクシェイ・クマールの新作、そして、Eastの山の頂上には今回の訪問となった、Asohkaの大セットが作られている。

 夜7時から深夜までの撮影と聞き、近くの5つ星リーラホテルでA嬢と待ち合わせをし、フィルムシティーへ。ゲートのチェックが厳しく、通常は然るべきパーミッションがないと見学の為に入る事はできない。マハラシュトラ政府文化局の正式許可書を取得するのは、大変な時間と手間がかかる。運良く取れてもその見学日に撮影が行なわれているという確証もない。こうして、然るべき人のコネをつかってくらいしか、フィルムシティーや、スタジオの見学は難しい。今回はA嬢のまさしく顔パスで、私たちの車はフィルムシティーの頂上を目指した。

 頂上には、ブルーの立て看板と、またしても、厳重なガードの門が。この看板にはAshokaの文字が。いよいよ、憧れのシャールク・カーンとの体面が迫る。車から降りると、シャールク・カーンのマネージャー氏の熱烈歓迎を受ける。頂上にはグレーの仏跡のような、大掛かりな城が、右手には城砦の巨大な門がそびえたつ。これらはみんな、映画の為に作られたセットとは思えないほどの大掛かりのものだ。マネージャー氏の説明では、このAshokaは、シャールク個人事務所がプロデュースしている作品で、来年5月頃のリリースだそうだ。Ashokaといえば、紀元前3世紀に全インド亜大陸を統一した偉大なる帝王。マガタの地の仏教を全インドの宗教の仏教へと変えた功績者だ。統治初めのころは、「暗黒のアショーカ」といわれるほどに、暴虐非道の王であったが、「ダルマアショーカ」となるには、大きな歴史的経緯があった。10万人が死に、15万人が捕虜となり、それ以上の人が戦禍を受けたオリッサの地で行なわれたカリンガ戦争。このあまりの悲惨さを深く悔い、以来「法」による統治を目指すようになる。そのAshokaをいま、シャールク・カーンが、演じようとしている。キング・シャールクがブッディストの王を演じようとしている。まさにそのとき、私たちは彼を訪ねることとなった。

 

シャールク・カーンに会う@

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