Diary

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10月31日(木)  「山」

仕事がきょう、やっと一山超えた。
昨夜は、番号の書かれたカードを1から順に並べ替える夢を見た。
ここ2週間ほど、そんな夢ばかり見てしまい、熟睡できない日々が続いていた。
こんな自分を、つくづく弱い人間だと思う。

そんな理不尽な疲れを強いた仕事の結果が、きょう出た。
結果は良好であった。
高評価をいただき、それだけで妙な達成感を味わっている自分を客観的に見つめ、また自分の弱さをあらためて思い知る。

あさっては、温泉に一泊で出かける。
痛んだ羽を、半分だけ伸ばしてこようと思う。




10月29日(火)  「シュレッダー」

「何か恥ずかしいもの、ない?」
息子がたずねる。
彼の手には、先日届いたばかりの手動式シュレッダーが握られている。
銀行の企画で、月々の積立預金で貯めたポイントでもらった景品である。
前々から欲しかったシュレッダーが、こんな方法で手に入るとは思わなかった。渡りに船とは、このことだ。

シュレッダーが届いた日、息子は小躍りして喜んだ。
新しい機械にすぐに夢中になる性格は、私譲りらしい。
その日のうちに息子は、家中のクレジットカードやNTTなどの請求書類数年分をすべて粉々にしてくれた。
そんな不毛な作業を嬉々として進めながら、息子は訊いた。
「どうして、こういう紙はシュレッダーして捨てるの?」
誰かに見られたら恥ずかしいから、と、私は答えた。
以来息子は、家の中で何かのメモやDM葉書などを見つけると、必ず、
「これ、恥ずかしい?」と聞くのである。
そしてクローゼットから、ウキウキしながらシュレッダーを持ち出してくるのだ。
今夜は帰宅するなり、ポストに届いていたプロバイダの請求書をシュレッダーした彼は、さらなる「恥ずかしい物」を探している。

恥ずかしい物。
シュレッダーに入らない物ならば、いくらでもあるんだけど・・・。




10月28日(月)  「ご褒美」

学校に出向く用があったため、午後は仕事を早退した。
今夜は、久しぶりに料理らしい料理をした。
ここのところ仕事がとても忙しいため、我が家の夕食は連日外食や実家で食べさせてもらうなど、お寒い状況が続いていた。

夢まで冒す、この超多忙な日々も、11月いっぱいでひとまずケリがつく。
仕事が片付いたら、何をしよう。
気持ちは、12月に飛ぶ。
大きな買い物でもしようか、と考えた。
何でもいいから、目標が欲しかった。
この仕事が終わったら貰える、自分へのご褒美を作りたい。
あれこれ考えた結果、息子と二人で小旅行をすることにした。
夫の了解を得て、きょうホテルの予約も済ませた。
これで、いい。あとは、働くだけだ。
12月になったら、思い切り羽をのばせる。
今はその畳んだ羽を、せいぜいこき使うことだ。

私も、自分で自分に褒美を与えられる歳になったらしい。







10月26日(土)  「読書」

息子はきょう、「ハリーポッターと賢者の石」をとうとう読み終えてしまった。
あの分厚いハードカバーを正味2日間で読んでしまったことになる。
最後の数十ページは、私の実家に持って行って読んだ。
夕方実家に息子を迎えに行った時、息子は私の父に、本を読むのが速すぎる、と怒られていた。
どうして速く読んじゃいけないの?と私が訊くと、父は唇をすぼめて必死に理由を考えていた。
孫が本に首っ引きで、相手にしてもらえなかった父は、ちょっと面白くなかったのかもしれない。
年寄りは時に、わけのわからないことで怒り出すものらしい。



10月25日(金)   「惚気話」

私にハリー・ポッター全巻を貸してくれた知人が、私に本を貸してくれる時にご主人の話をしてくれた。
ハリー・ポッターは、もともとご主人が買ってきた本なのだという。
ご主人は、3冊のハリー・ポッターシリーズを、なんと一日で完読してしまったそうだ。
「夫はね、本を読む時は、朝からウイスキーを片手にリビングのソファーに座って、ずーっと読んでるの。他のことは何もしないで、ただひたすら一日中本を読んでる。本を離すのは、食事の時とお風呂の時だけなのよ」
それはそれは・・・・と、私は思った。
ダンナにリビングで一日中ゴロゴロされていては、家族は、鬱陶しくて仕方がないだろう。
しかし、彼女はにっこり笑って続けた。
「そこがね、夫の唯一いいところ^^」
・・・・・長所だったのね(^^;

大学生の息子さんが二人もいる女性の、この完全なるのろけ話に、私はちょっぴり感激した。
いいご夫婦なのだろう。
ご夫妻が続けて読んだという「ハリー・ポッター」を、私は有難くお借りして読んだ。








10月24日(木)   「ハリー・ポッター」

「ハリー・ポッター」を読みたい、と息子が言い出した。
私は1巻から3巻まで読んだが、すべて知人から借りて読んだため、持ってはいない。
本気で読むのなら買ってやってもいいが、息子はまだ小学2年生である。
あの分厚いハリー・ポッターを1冊でも読み切ることができるだろうか?
字が小さいのよ。
さし絵なんか描いてないからね。
漢字もいっぱい出てくるし。
文字ばっかりの本なのよ。
私は、思いつく限りの脅しをかけて、息子の決意を確かめた。
彼はしかし、そんなことは重々承知らしい。
ふぅん、おもしろい。8歳の子がどこまであの本を読めるものか、挑戦させてみよう。
私は息子を連れて、図書館へ出かけた。

図書館の書棚には、ハリーのシリーズは1冊も見あたらない。
端末で検索をかけると、すべて貸出し中という結果が出た。カウンターでたずねてみたが、予約がいっぱいで当分借りられないとのことであった。
そのカウンターの後ろの予約書庫には、かの「炎のゴブレット」が燦然と輝いている。
「炎のゴブレット」は昨日発売になったばかりだ。
この手があったのか。
早朝から書店に並んで買った人がいるかと思えば、図書館で早くから予約して読む人もいる。
本を読む人も、いろいろだ。

結局、本屋で「ハリー・ポッターと賢者の石」を買うこととなった。
どうせ第1章で飽きる、と、たかをくくっていたが、意外や息子は順調に読み進んでいる。
テレビもつけずに本を読みふけっている息子の姿を、私は唖然としながら眺めた。
これも、ハリーの魔法なのかもしれない。






10月23日(水)  「いい男」

仕事関係の人たち数人と、連れだって外出した。
交差点で信号待ちをしていると、すぐ横の車道に暇そうな消防車が1台、赤信号で止まった。
他にすることもないので、私は信号が変わるのを待ちながら、ぼんやりと消防車を観察した。

交差点を渡ったあと、誰に言うともなしに私が、
「後ろの席にいた消防士、いい男だった・・」とつぶやくと、次の瞬間、私の近くにいた女性たち3、4人がいっせいに頷き、口々に言った。
「そそ、後ろの人」「タイプだった」「あの人、イケてる」・・・

こういう時だけは、気が合うんだから・・・。
オンナって。





10月22日(火)  「ユニクロ」

初めて、ユニクロへ行った。
今時こういうことを人に言うと、やはり驚かれるのだろうか。
これまで何故かユニクロには縁がなかった。家の近くに店舗がないし、何となく食指が動かなかったのも事実だ。みんなが買いに行く店には興味が湧かない、というB型的気質の表れだろうか。

きっかけは、義母が息子のために買って送ってくれた、ユニクロのTシャツだった。
悪くなかった。
きょうは仕事から早くあがったので、ふと思いついて、息子を連れて出かけた。
「初めてのユニクロ」である。

プライスを見て、驚く。噂には聞いていたが、本当に安い。
息子などは、あからさまに「安いねぇ!ママ」を連発している。
もの珍しさも手伝って、私たちは店内をぐるぐると何周も歩き、結局息子と私の服を合わせて13点も買い込んでしまった。
最後のカーディガンをかごに入れて、私が、
「よーし、きょうはこれくらいで勘弁してやろうか」
と言うと、かごを下げて私の後ろを歩いていた息子が、
「勘弁してやってくださいよ、もう」
と苦笑している。
ここのところ猛烈に仕事が忙しかった私は、この超衝動買いでだいぶスッキリ気分を味わうことができた。

疲れたら、ユニクロ。
ユンケルよりも効くかもしれない。
心に。



10月21日(月)   「図画工作」

朝、息子が憂鬱そうな顔をして言う。
「ぼく、熱ない?」
額に触ってみる。熱があるどころか、冷たいくらいだ。
ないわよ、と言ってやると、彼は残念そうに、
「あるような気がするんだけどなぁ・・」と言いながら、しきりに自分の手の平を額に当てている。
彼が発熱を期待する理由はわかっている。きょうは、図工の授業で、先日の遠足の絵を描く予定なのだ。
息子は、絵画制作が苦手である。
1年生の頃から、絵を描く授業の日は学校を休みたがる傾向があった。
もともと、勉強は嫌いではない。
特に算数が得意で、1時間目から5時間目までずーっと算数だといいのに、と言うほど好きなのだが、反面、絵画に対するコンプレックスも大きい。
絵画制作も算数も、生まれついてのセンスがものを言う。
それが、この世に生まれてたった7、8年でこれほどまでにはっきりしてしまうものなのかと思うと、なんだか可笑しく、そして哀しい。

苦手な科目も嫌いな科目も、避けずに学ばなければならない。
少なくとも、義務教育を受けている間は。
人生も同じである。
好きなことだけやって生きていける人はいない。
それを最初に学ぶのが、小学校というところなのかもしれない。
何度もため息をつきながら、息子はランドセルを背負って玄関を出て行った。
その後ろ姿に母は、声にならないエールを送った。






10月20日(日)   「本」

息子を連れて、電車で外出した。
行きに、最寄駅構内の本屋で息子に本をねだられた。
小学校低学年向きの、軽い読み物のシリーズである。自宅に1冊だけあり、息子のお気に入りの本になっている。
マンガではないし、いいだろう・・。
約1000円のその本を1冊買ってやって、電車に乗った。
電車に乗ると息子は、着席するなり本を開いて読み始めた。そして、目的地に着くまでの約30分足らずの間に、1冊すべて読み切ってしまったのである。
あー、面白かった!と、何度も繰り返しながら、息子は満足顔で電車を降りた。

そして、帰り道。
駅ビルの書店で、私はまたあのシリーズを1冊、息子に買わされる羽目になる。
そして行き同様、彼は車中でまた1冊読み終えてしまったのだ。

このシリーズは、全巻30冊だという。年に2冊のペースで新しい本が出ているということなので、まだ増え続けているのだろう。
この勢いで、シリーズ全巻買わされたのでは、たまらない。
金額もさることながら、狭い我が家では、置き場所に困る。

夕食後、息子はこんなことを言い出した。
「今年、サンタクロースは何をプレゼントしてくれるかなぁ(^^)」
何をお願いしたいの?と訊ねたら、息子はあのシリーズのタイトルを言う。
「30巻全部欲しいな^^」
咄嗟に私は、それはもらえないと思うよ!と即答してしまった。
置き場所がないからね、と理由付けまでして。
すると、物分かりのいい息子は「ああ、それもそうだね」と、軽く納得してくれた。

サンタクロースがすべての子どもの家庭の事情をお見通しであることを、
どうやら彼は知っているらしい。



10月19日(土)  「芝居」

加藤健一事務所の芝居を観た。

加藤健一の、三枚目と二枚目の神業的な演じ分けは実に見事である。
彼は、観客に有無を言わせぬ迫力で、一瞬のうちにそれを切り替えることができる。
昔、つかこうへい氏が加藤健一について、
「あいつは、見せ方を知っている。天性だ。」と語っていた文を読んだことがある。
持って生まれた天分を、職業に生かせた人は幸いであると思う。

「バッファローの月」
10月18日(金)〜11月3日(日)
下北沢・本多劇場にて





10月18日(金)   「夢」

明け方、雨の音で目が覚めた。4時頃だったと思う。
再び眠りに落ちようとした時に、洗濯物がベランダに出ていることを思い出した。朝は出勤準備で忙しいため、私は夜のうちに洗濯物を干すことが多い。
忘れちゃえ・・・
そう思って寝返りをうったが、洗濯物のことが頭から消えない。
うつらうつらするものの、しのつく雨に濡れそぼる洗濯物が夢に出てきてしまい、すぐに意識は覚醒してしまう。
熟睡できなくなってしまった私は、仕方なく、重い身体を布団から起こしてベランダに向かった。
小物干しを物干し竿からはずそうとして、その重さに驚く。
ひさしからはみ出していた部分の洗濯物が、雨水を吸ってずっしりと重くなっているのだ。

主婦の悲哀。
眠っている間も、家事から解放されることはないのである。
最近は忙しいせいか、仕事の夢も頻回に見る。
仕事の段取りを考えている夢や、会議の夢が多い。

夢に見た職業、そして結婚。
今や、それが、
夢の中まで私を拘束する。




10月17日(木)   「遠足」

先日、息子の小学校の遠足があった。

遠足のしおりに、持ち物の一覧があった。見ると、弁当・敷き物・おしぼり・水筒などの項目に混じって、「エチケット袋」という項目がある。
この、「エチケット袋」というものが、よくわからないのだ。
乗り物に乗って行くので、エチケット袋の用途は想像がつく。ビニール袋という項目が他にあるので、普通のビニール袋ではないものを要求されていることも理解できる。
では、どんなものを持っていけばいいのだろうか?
よくわからないので、我が家では、飛行機に乗るたびに機内でもらってくるディスポーザルバッグを持たせている。今年は、銘柄の違うものを2、3枚持って行きたいという息子の希望に従い、全日空、JAL、タイ航空の袋を1枚ずつリュックに入れてやった。
しかし、他の子はどんなものを用意して来ているのだろう?
実に興味深いところである。

興味深いといえば、お弁当の中身も同様だ。
小学生のスタンダードなお弁当とは、どんなものなのだろう。保育園時代ならいざ知らず、小学生となるとまったく想像がつかない。
他所のお母さんたちは、どんなに手の込んだお料理を作っているのだろうか。私の作るお弁当など、ゆで卵、ミートボール、プチトマトなどの一発食品がおかずの多くを占めており、実にお寒いものである。
しかし、そんなお弁当でも、遠足の日は1時間近く早く起きて作らなければ間に合わない。あれもこれも入れてあげたいと思えばこその親心が、品数を多くしてしまうのだ。たとえ、一発食品ばかりであろうとも・・。

子どものリュックサックの中にも、
家庭の事情がある。






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