人妻日記



Diary

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4月28日(月) 「算数」

昨日、パソコンを1台修理に出した。
私がカウンターで手続きをしている間、店内を歩き回っていた息子が、
「ママ、きてきて」と手を引く。
息子に連れられて行った先は、ゲームソフトのコーナーだった。
算数の計算ゲームソフトを買ってくれと言う。
そんなに高いものではなかったので買ってやると、息子は小躍りして喜んだ。
家に帰ると、さっそく息子はパソコンに向かって買ったばかりのゲームを始めた。
1場面クリアするごとに声を上げて狂喜しながら夢中でやっている。
私も横に座ってしばらくゲームを眺めてみたが、何がそんなに面白いのかさっぱり理解できない。
実に、頭が痛くなるようなゲームなのだ。
とにかく、次々立て続けに計算問題が出てくる。
問題を解かなければ、先に進めないし敵を倒せない。
もともと計算が嫌いな私は、見ているだけでうんざりしてしまった。
どうしてこういう遊びを好き好んでやる人がいるのか?
それがしかも我が子だというのだから驚きだ。

人の趣向はさまざまだ、とつくづく感じる。







4月22日(火) 「爆睡」

ある講演会に行った。
私の席の左側には二人連れの若い女性が並んで座っていた。
その私の隣に座っていた方の女性が、おしゃべり好きらしい。
それはもう早口で、喋る喋る。
着席してから開演まで20分ほど時間があったが、その間、隣の友だちに相槌を打つ間を与えるのみで、彼女の独壇場である。
隣に座っていた私は、聞きたくもない話が自然と耳に入り、面識もない彼女の家族構成、職業、日常生活、悩みにいたるまで、20分間ですっかり学習してしまった。
彼女は言う。
「結局、私は時間の使い方が下手なのよぉ。なんか時間の使い方を間違っているみたいね。人生をムダにしているなぁ、っていう気がするの」
やがて舞台に司会者が登場し、講師の紹介が始まると、彼女はやっと口を閉ざして静かになった。
そしていよいよ講演が始まるや、彼女は1、2、3とカウントする間もなくただちに爆睡モードに入った。
喋りまくって疲れたのかもしれない。

講演は、とても面白く、勉強になる内容であった。
客席の殆どの人がメモを取りながら講師の話に聞き入っていた。
そして、約1時間の講演の間中、私の隣の彼女はひたすらに眠り続けていた。






4月20日(日) 「IM」

深夜、友だちがログインしてくるのを待っていたら、知らない男性から相次いでIMが飛び込んできた。
IMとはAOLの1対1のチャット機能。メッセンジャーとよく似ている。
いきおい、3人かけもちでIMすることになってしまった。
かけもちのIMは、本当に久しぶりである。
3人のうち、2人は40代、1人は20代後半の男性だった。
最後に声をかけてきた人には、「今、2人かけもちなの」と送って断ったつもりだったが、相手はひるまず「モテモテだね」などと言って、他の男に負けじとメッセージを送ってくる。
30分ほど当たり障りない会話をしているうちに、どの男性も申し合わせたように、逢わないか、と言い出した。
写真を送るから、とも言う。
AOLは相変わらずだ。ため息が出る。
ここはテレクラとは違うのよ、という意味のことを遠まわしに、けれどもはっきりと伝えると、1人はすごすごと消えていったが、残り2人は最後まで粘っていた。
ここで、どんな関係を見つけたいの?
私が訊くと、40代妻帯者は、「恋がしたい」と率直に答えた。
「30分話しただけの女性と逢って真の恋ができると本気で考えている?」
と私が訊くと、「だって、逢わなくちゃわからないもの」と臆面もなく彼は言う。
逢ったら、何がわかるというのだろう。
期待できる答えが戻ってくるとは思えず、それは訊かなかった。

彼らはいつの日か、その空虚な心と満たされない欲求を充足させてくれる女性と、このネットの海で出会うことができるだろうか。








4月17日(木) 「激やせ」

冬物のセーターを抱えて、クリーニング屋に行った。
店内に一歩入って、自分の目を疑った。
カウンター内にいる女性はたしかにいつもの女性店主のはずなのだが、別人のように痩せているのだ。
以前の彼女は、かつての泉アキを思わせるようなふくよかな女性だった。
おそらく20s以上は痩せたのではないだろうか。
会計をしてもらっている間に、思わず、
「お痩せになりましたね」
と声をかけてしまった。
ふだん私は、他人の痩せた太ったについてはできるだけ言葉にしないことにしている。
しかし、きょうは言わずにいられなかった。
「病気していたんですよ」
彼女は苦笑する。
やはり病気か・・・。
痩せたくてこんなに痩せられるはずがない。
病気で痩せた、と言う彼女は皮肉にも、太っていた頃よりも何歳も若く綺麗に見える。

おだいじに。
何回か、そう声をかけてクリーニング店をあとにした。






4月12日(土)  「湯布院」

「湯布院温泉のお湯って、紫色なんだね!」
お風呂上りの夫が、上機嫌で言った。
温泉の色が紫?
そんな話は、聞いたことがない。
「誰がそんなこと言ったの?」と、夫に訊いてみた。
すると夫は、すまして言う。
「湯布院っていう入浴剤をお風呂に入れたんだ」
さっきスーパーで買ってきた、温泉の元入浴剤のことらしい。
浴槽を見に行ってみた。
たしかに、お湯の色は紫色になっている。
「さすがに九州の温泉は違うなぁ!」
夫はしきりに感心している。
まさか、本当に湯布院温泉のお湯が紫色だと思っているのではないでしょうね・・。
おそるおそる確認してみると、夫は完全に、湯布院のお湯は紫色だと信じ切っている。

かねてから、騙されやすい人だとは思っていた。
私と結婚しちゃったくらいなのだから。
しかし、ここまでとは・・・・。
明日は草津温泉の元を入れてみよう。
草津温泉は緑色だと言い出すだろうか?

そういう夫が、ある意味、羨ましい。





4月9日(水)  「マニア」

4月1日付けで私たちの部署に転勤してきた職員のひとりが、ネット通らしいという情報が入った。
その先輩と退勤時にロッカールームで一緒になったので、私の方から話しかけてみた。
私より5歳ほど年上の彼女は、本当にネットが好きらしい。
話題がパソコンに及ぶや、目をキラキラさせ始め、語る言葉に力がこもるのがわかった。
独身の彼女は、一人暮らしの自宅で、実に3台のパソコンを常時接続しているのだという。
どうして3台も繋いでいるんですか?と訊ねたら、チャットやゲームサイトに複数のアカウントで同時に入るためなのだという。
そこまで訊いて、
「先輩もマニアですねぇ!」
と感嘆すると、彼女は、
「でも、あなたのように、旅行先にまでパソコンを持って行くほどのマニアじゃないわ」
と、にっこり笑ってバッサリ斬ってくださった(^^;

あなたにマニアって言われたくないわ。
彼女もそう思っただろうが、私も思った。









4月6日(日) 「メロンシャーベット」

先月から半蔵門線と東武伊勢崎線が直通運転になったので、きょう、電車ファンの息子を連れて記念乗車してきた。
渋谷と三越前で途中下車し、食事をしたり買い物を楽しんだ。
千疋屋で、ティータイム休憩。
息子はメロンシャーベットをオーダーした。
息子はメロンが好きらしい。
スプーンで掬ってシャーベットをひとくち食べ、息子は目を輝かせて言った。
「ママ、これはね、そこらのメロンシャーベットとは違うよ」
そこらのメロンシャーベット、とは、メロンの形をしたプラスチック容器に入ってスーパーなんかによく売っている、あのメロンアイスのことを指すのだろうか。
私もひとくち味見をさせてもらった。
新鮮な、本物のメロンの味である。
そこらのメロンシャーベットとは違うでしょう。
息子はもう一度言って、にっこり笑った。
たった8歳にして、彼はそこらの味とちょっと高級な味の違いを、何処でおぼえたのだろうか。
何事も経験である。
複数の種類を食べ比べてみなくちゃ、味の違いはわからない。
不味いものも、美味しいものも、食べてみることに意義がある。

食べ物だけではないけれど・・・。







4月4日(金)  「旅行」

あせっている。
GWまであと一ヶ月を切ったというのに、まだ旅行先が決まらないのだ。
もちろん、今さらGWの旅行を決めているのではない。
迷っているのは、夏休みの旅行である。
我が家の夏の旅行は、例年ならばGW終了までにはその計画と予約を完了している。
ところが今年は、もう桜が咲いてしまったというのに、まだ目的地さえ決まっていないのだ。

半年ほど前まではシンガポールに行く計画を立てていた。
しかし、国際情勢に暗雲がたちこめ始めて、シンガポール計画は頓挫した。
海外は、怖いかも・・・。
そこで次に浮上したのが、沖縄。
しかし、やがて沖縄の線も消え、いっそオーストラリア・・・。
さらに、家庭内でああでもないこうでもないという議論を繰り返した結果、今有力候補地となっているのが北海道と九州である。
要するに、どこでもいいのだ。
どこでもいいのに、どこでもだめ。

戦争とテロと肺炎が怖くて、我が家の空想は世界中を彷徨い歩く。
甚だ脳天気に。







4月3日(木)  「ブレーキ」

職場の休憩室で、同僚が自転車で怪我をした時の話をしていた。
坂を下っている途中で、ブレーキのワイヤーが突然切れたのだという。
やっぱりあるんだ・・・そういうことって。
恐ろしさに、震えがくる。

しばらく前にも、別の知人に同じような話を聞いたことがある。
自転車のブレーキワイヤーって、切れることがあるんだ・・。
びっくりした私はすぐに、自分の自転車を自転車屋さんに持ち込んで点検してもらった。
さいわい私の自転車は異常なしであったが、自転車屋のおじさんはこんなことを言っていた。
「ブレーキっていうのはね、突然に切れることはないんです。必ず何か予兆がある。ブレーキがカタカタするとか、利きが悪くなるとか。予兆が出たら、持って来れば大丈夫です」

なるほど、物事にはたいてい予兆がある。
予兆の段階で手を打つことが大事なのだ。
何事も。
自転車屋のおじさんに、大事なことを教わった。


問題は、予兆に気づくほど、そのことに注意を払っていられるかどうかということだ・・。







4月2日(水) 「4000円」

今朝、職場に着いて通勤用のバッグを開けたら、見覚えのない封筒が入っているのに気づいた。
中身を見ると、お金が入っているではないか。
何、これ・・・。
しばし、呆然としてしまった。

朝は時間がなかったためそのままバッグに戻した封筒を、帰宅してからじっくりと見てみた。
封筒は某信用金庫のものだった。
オモテには私の字ではない鉛筆書きで、\3040と書かれている。
入っていたお金は千円札が4枚。
お金と一緒に、私の書いたメモが1枚入っていたが、4000円とは関係のない内容だった。
私が誰かから預かったお金なのだろうか?
あるいは、返してもらったお金?
\3040と書かれてありながら、4000円入っているのは何故?
いくら考えてもわからない。
謎は深まるばかりである。

初めは、誰かが自分のバッグと間違えて私のバッグにこの封筒を入れてしまったのかとも思ったが、中に私の書いたメモが入っていることから、その線は消える。
それでは、いったい何のお金なんだろう・・・?
気味が悪いことこの上ない。

なし崩し的に新年度を迎えてしまったために、ここ数日、職場は上を下への大騒ぎだ。
激動の日々にあっては、些細な出来事は頭の中を右から左へと虚しく通過してしまう。
私も、職場全体も、混乱している。
4000円のお金の出所と行き場所が、さっぱりわからないほどに・・。

ぼーっと謎の封筒を眺めているうちに、笑い出したい気持ちでいっぱいになってしまった。
このまま迷宮入りになってしまったら、このお金で何を買おうかな・・・。
わけのわからない4000円に、少しだけ希望をもらった。




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